ターポリンのひび割れ!その原因と対策は?

ターポリンは、屋外広告やイベント用の幕として非常に人気のある素材です。その理由は、耐久性に優れ、コストパフォーマンスが高い点にあります。しかし、そんなターポリンも、使用状況や設置方法によっては想像以上に早く劣化し「ひび割れ」のトラブルに見舞われることがあります。

皆さんは、ターポリンがひび割れして困った経験はありませんか?ひどい時は設置して数日、数ヶ月でひび割れが起こり、がっかりすることもあります。これは多くの方に共通する問題であり、その原因を知らずに使い続けてしまうと、せっかく長く使おうと製作したターポリンの幕が無駄になってしまいます。本記事では、ターポリンのひび割れの原因や、それに対する効果的な対策をご紹介します。
次章で、ターポリンの基本的な特徴から説明し、対策に繋げていきます。

ターポリンとは?

ターポリンとは、ポリエステルなどの繊維に塩化ビニール(PVC)をコーティングした合成樹脂の生地です。横断幕や懸垂幕、養生シートなど幅広い用途に使用されています。

ターポリン

詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
>>ターポリンの特徴や用途をご紹介

ターポリンの利点

ターポリンの最大の利点は、防水性・耐久性に優れ、非常に強度が高いことです。使用環境にもよりますが、紫外線にも強く劣化しにくいため、その耐用年数は3年程度と言われています。それほどの強度がありながら比較的安価なため、コストパフォーマンスが高く、長期的に使用する幕や看板には最適な素材です。様々な形状やサイズに対応できる他、印刷適性にも優れており、色鮮やかで目立つデザインを表現することが可能なため、広告効果も期待できます。

ターポリンの注意点

しかし、ターポリンにも注意すべき点があります。強度があるからと言って、すべての環境下で万能に使用できるわけではありません。以下では、ターポリン使用時に注意すべきいくつかのポイントを説明します。

  • 重さ
    ターポリンの厚みは0.3〜0.5㎜ほどあり、重さは400g~600g/㎡ほどです。丈夫な素材であるが故に布生地に比べると重さがあり、持ち運びや設置の際に負担がかかったり、設置の仕方によっては幕への負荷がかかるため注意が必要です。

  • ターポリンは風を通さないので風の抵抗を受けやすく、幕が揺られたり煽られたりするので、設置の仕方によっては生地の傷みが早くなります。
    (風を通す特性をもつメッシュターポリンについては後ほどご紹介します。)

詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>ターポリンのメリット・デメリットを徹底解説!

ひび割れの原因とは?

ターポリンを使用する際は、先述した注意ポイントを十分に理解しておく必要があります。なぜなら本来耐久性の高いターポリンが早期にひび割れしてしまうのは、主にフラッタリング現象によって引き起こされることが多いからです。フラッタリングとは、幕が風を受けパタパタとはためくことで生地にダメージを与える現象です。この現象により、表面の塩化ビニールがはがれてしまい、結果的にひび割れが発生します。

↓こちらは実際にフラッタリングが原因で、設置後すぐにひび割れが起きてしまったターポリンです。
フラッタリングによる破損参考写真1

フラッタリングによる破損参考写真2

フラッタリングが起こりやすい状況としては、ターポリンがしっかりと固定されておらず、幕が常に風で揺られていることが想定されます。特に、風を受ける面積の多い大判の幕や、ハトメの数が少なく固定箇所が充分でない幕は風の煽りを受けやすく注意が必要です。次章では、このフラッタリングに対する効果的な対策についてご紹介します。

フラッタリングの対策方法

フラッタリングを防ぐためには、ターポリンの製作段階と設置段階の両方で工夫を行うことが重要です。次に、製作時と設置時にできる対策方法を詳しく解説していきます。

製作時にできること

まずターポリンで幕を製作する際に、フラッタリングを防ぐための加工や工夫を施しておくことが重要です。以下に、製作時に実施できる具体的な対策をいくつか挙げてみます。

  • 生地をメッシュターポリンにする
    メッシュターポリン
    メッシュターポリンは、通常のターポリンに無数の小さな穴が開いている特殊な素材で、風を通す性質があります。生地の丈夫さはそのままですが、通常のターポリンに比べ風の抵抗を約1/3に軽減できます。そのため、風の強い場所や高所、また、何度もひび割れを繰り返し頻繁に幕を作り直しているような場所への設置は、あらかじめメッシュターポリンで幕を製作することをおすすめします。

    メッシュターポリンについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。
    >>メッシュターポリンは文字がきちんと見える?

  • 適した加工を施す
    周囲ロープ縫い込みハトメ加工
    大判サイズや風の抵抗を受けやすい場所に使用するターポリンには風穴加工を施すことで、風の影響をさらに軽減できます。風穴加工とは、幕に切り込みを入れて風を通す構造にし、風による破損を防ぐ方法です。また、幕の周囲にロープを縫い込む周囲ロープ縫い込み加工は、幕自体の強度が上がり固定がしやすいので、揺らぎやたるみが出にくく、設置時の安定感が増します。パイプや棒を通すための袋とじ加工は風への耐性が弱いため、使用の際は、より慎重に固定する必要があります。

    加工について詳しく知りたい方はこちらのページもご確認ください。
    >>加工方法のご紹介

  • ハトメ数を増やす
    ハトメ参考写真
    ハトメとは、ターポリンを固定するための穴に取り付ける金具です。ハトメの数が少ないと、幕にたるみが出てしまい風の影響を受けやすくなります。特に風が強い場所や大判サイズの幕は、ハトメの間隔を狭くして数を増やすことで、幕全体をしっかり固定し、フラッタリングを防ぐことができます。

設置時にできること

次に、ターポリンの設置時にできるフラッタリング対策について見ていきましょう。適切な設置方法を取ることで、ターポリンのひび割れや損傷を防ぎ、長持ちさせることができます。

  • たるみをなくす
    ターポリンにたるみがあると、風を受けやすくなり、フラッタリングが発生しやすくなります。幕を設置する際には、ピンと張ってたるみをなくすよう心掛けましょう。
    (株)N.Create様事例写真
  • ロープや結束バンドで固定する
    幕をピンと張ったあと、飛ばされないように、外れないように固定するのが大前提となりますが、なにで固定するかも重要です。カラビナは手軽に取り付けられますが、揺れが生じやすく、また、幕への負荷が一点に集中して生地を傷めやすいため、なるべく使用は避けた方が良いでしょう。ロープや結束バンドなどを使って固定することをおすすめします。
    取り付け参考写真
  • ブロックで固定する
    ターポリンの下部をブロックで固定することも、効果的なフラッタリング対策です。幕に取りつけたロープがゆらゆらと揺らいでいては、幕自体が固定されず意味がありません。幕とロープの両方にたるみがでないようブロックで重しをつけて固定すると、風の煽りを受けず幕全体の安定性を保つことができます。(株)ブレシア様事例写真

まとめ

ターポリンは、強度や耐久性に優れた素材で、様々なシーンで使用される人気の素材です。しかし、風の影響を受けやすく、特にフラッタリング現象によるひび割れには注意が必要です。製作時にメッシュターポリンを使用したり、適切な加工を施すこと、そして設置時にしっかりと固定することで、ターポリンを長期間使用することが可能です。適切な対策を講じて、ターポリンを最適な状態でご利用ください。

ターポリンの保管やお手入れ方法についての記事もありますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
>>NG行為から色褪せを防ぐ方法までを解説